卒業論文における「絶対」という言葉の使用については、慎重に検討する必要があります。学術論文では、過度な主観や断定的表現は避けるべきとされているためです。
「絶対」という言葉自体は、「間違いなく」「疑う余地がない」という強い確信を表す語句です。しかし、研究分野においては常に新しい発見や反証可能性が存在します。絶対不可能だと思われていたことが、新たな知見で覆される例は数多くあります。
そのため、卒論の中で「絶対に〜である」「絶対に〜しない」と断言してしまうと、研究の客観性や普遍性を損なう恐れがあります。読者にも、そのような強硬な表現に違和感や反発を覚えられかねません。
代わりに、研究上の限界や条件を付記した上で、「〜と考えられる」「〜である可能性が高い」などの書き方が適切と言えるでしょう。確信は持っても、完全に可能性を否定したり排除したりするわけにはいきません。
ただし、引用や事実関係を示す際に「絶対に」と使うことは問題ありません。「ヒトは絶対に水を摂取しないと生存できない」のように、一般常識や基本原理について言及する際には、「絶対」を用いても差し支えありません。
卒論執筆では、過剰な主観は避けつつ、控えめな言い回しを心掛けることが賢明でしょう。指導教員の助言も参考にしながら、冷静な論理性と節度ある表現を意識していきましょう。