6次産業化を卒論のテーマにできるか?
農業の6次産業化は、近年日本で注目を集めているトピックです。1次産業(農林水産業)、2次産業(製造業)、3次産業(サービス業)の枠を越えて、付加価値を高め新たなビジネスチャンスを生み出そうという取り組みです。例えば、農家が自ら加工場を設け農産物を自家加工したり、直売所を開いて流通の過程を省略したりするなどの形態が当てはまります。
6次産業化はまだ新しい概念ですが、卒論のテーマとしては大変興味深く、研究の余地も多く残されています。以下のような切り口から卒論を執筆することができるでしょう。
事例研究
すでに6次産業化に取り組む農家や企業の具体的な事例を取り上げ、その取り組み内容や経営戦略、直面する課題などを分析する。成功事例と失敗事例の比較対照も興味深い。
地域活性化の視点
6次産業化は地域の農業を活性化し、雇用創出や所得向上にもつながります。実際の地域での取り組み事例を調査し、地域経済や住民生活への影響を考察する。
マーケティング戦略
加工品の付加価値向上や直売などは、消費者ニーズを捉えたマーケティング戦略といえます。6次産業化に取り組む事業者のマーケティング手法を分析することで、農産物のブランディングなどにも言及できます。
法制度・支援施策
6次産業化は政府の政策的支援もあり、関連法制度が整備されつつあります。しかし課題も残されています。こうした法制度や支援施策の現状と問題点を検討することができます。
環境負荷の視点
農産物の生産から加工、流通までを一貫して行うことで、環境負荷を減らせる可能性があります。6次産業化の取り組みにおける環境配慮についても探ることができるでしょう。
データ収集
6次産業化については、以下のようなデータ・資料を収集することが考えられます。
- 農林水産省や自治体の政策資料、補助金制度の情報
- 先行事例に関する書籍、ウェブサイト、メディア記事
- 農業団体や6次産業化推進組織のデータ
- 農家や企業へのヒアリング、アンケート調査
特に実地調査により、具体的な事例の生の声を収集できれば、より実りのある研究となるでしょう。
総括
6次産業化は、環境に配慮しつつ農業の収益性を高め、地域経済の活性化にもつながる有望な取り組みです。政策的にも後押しされており、今後さらに加速していくことが予想されるトピックです。
したがって、6次産業化をテーマに据えた卒論は、時宜を得た重要な研究と位置づけられます。事例分析、マーケティング論、政策提言、環境影響の考察など、様々な切り口から興味深い論考ができそうです。
データ収集や実地調査には大変な労力を要しますが、社会的関心の高いこの分野への挑戦は、卒論執筆にもつながる大きなやりがいと自信につながるはずです。