【卒論、理系の場合は出せば何とかなるのか?】
卒業論文の執筆に追われる学生の間で、よく聞かれる質問があります。
「理系の場合は、卒論さえ出せばなんとかなるのか?」
確かに、人文系のように卒論を極めて重視する分野と比べると、理系の一部では卒論の評価基準がやや緩いところもあるかもしれません。しかし、「出せば何とかなる」とはとても言えません。
大半の大学では、理系であっても卒論は卒業要件の一つに位置づけられています。したがって、卒論を提出しないと卒業そのものができません。出すだけでは意味がありません。
また、卒論は単に提出するだけでなく、一定の質が求められます。指導教員からの厳しい査読や口頭試問を経て、初めて合格となり単位が認定されるのです。つまり、ある程度の内容とクオリティーがなければ、単純に「出した」だけでは通用しません。
実際、形ばかりの卒論では不合格となるケースは多々あります。せっかく時間を使って執筆しても無駄になってしまうリスクさえあるのです。
ですので理系においても、卒論は作文や設計などの重要な要素であり、看過できる課題ではありません。特に大学によっては、卒業後の編入学や就職にも影響があるとされています。
ただし、文系分野に比べると評価基準は若干緩やかである場合もあります。例えば新規性がなくとも、既存のデータの整理で合格する可能性はあるでしょう。分野によっては実験レポートが卒論に値する、という扱いの大学もあるかもしれません。
つまり、安易に「出せば何とかなる」と考えるべきではありません。しかし、一方で卒論に極端に恐れをなす必要もないということです。自分の専攻分野の卒論の位置づけを冷静に見極め、焦らず着実に取り組めば十分に卒業を勝ち取れるはずです。
卒論は到達点であり集大成です。皆さんの4年間の学びの軌跡が、そこに凝縮されているはずです。大切なのは、その点を肝に銘じ、真摯に向き合うことだと思います。出し惜しみはせず、全力で取り組んでください。きっと卒論を通して、新たな自分の可能性に気づけるはずです。